Translate

2015/01/23

Cloudの音源「Ain't Misbehavin'」



先日コットンクラブで聴いたジェイソン・モランのファッツ・ウォーラーがとても新鮮でした。
ファッツ・ウォーラーのかぶりものを初めに見た時はなんて悪趣味なのだろうとさえ思いましたが、ジェイソン・モランがかぶりものをかぶりピアノを弾きはじめた途端にすべてがOKへ。まるでディズニーランドにいるような錯覚さえ覚えましたが、それもまたおもしろいことなのだと気づきました。ピアニストがすべて同じ方向を向いている方こそ聴く方にとってはあまりおもしろくないことなのであって、私もこの瞬間に、この少し変ったジェイソン・モランのことをとても好きになってしまった次第です。

ピアニストの考え方が変っていればいるほど好きになってしまう偏愛的指向は昔からですが、ジェイソン・モランは実際に聴いてみて初めて好きになるタイプのピアニストの一人、貴重な体験でした。これだからやはり生のライブはやめられません。それもふらりと出かけたライブの方が断然おもしろい、出会いは突然にやってくるということですね。

ということで、モランの演奏を聴きながら一番最初に思い出してしまったのがマグナス・ヨルトのピアノスタイル。とても似ていると感じました。ヨルトは北欧にいながらニューオリンズジャズ、ガーシュイン、ファッツ・ウォーラー、ビリー・ホリディなどの音楽の方を向いている若いピアニスト。北欧のピアニストらしい愁いも持ち合わせながら、全く違う方向を向いて進む、彼も生で聴いて初めて楽しさがわかるピアニストの一人です。

マグナス・ヨルト初来日ライブの際の音源を集めた『Someday. Live in Japan』の中からお茶の水ナルでの貴重な音源、Fats Waller「Ain't Misbehavin'」を3分間だけYoutubeにupしました。話し声、グラスやお皿のふれあう音、ライターの音、かけ声、個人の淡い記憶の中にある音のはずですが、このアルバムの中でひとつひとつくっきりと蘇ってきます。

超満員のナルでの2ndセットの一番最初の曲はこの曲からスタートしました。
休憩する場所もないくらいの超満席状態。満員で喫煙OK、今は演奏するライブハウスのすべてが禁煙のドラムスの池長一美氏にとってはかなりきつかったはず。
Zippoのライターの閉じる音まで聴こえてきます。
ざわついたにぎやかさも、ライターの音も、今となってはどこか心に懐かしい音色です。