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2013/10/03

How to Make a Book with Steidl


渋谷で公開中の「世界一美しい本を作る男」(原題は「How to Make a Book with Steidl」)を見てきました。
シュタイデル社の仕事術は当たり前のことなのに非常に心に残る言葉ばかりで、改めて姿勢を正された気持ち。言い訳などせずにきっぱりとこうあるべき。

シュタイデル社の仕事術
1、クライアントとは直接会って打ち合わせすること。
2、全行程を自社で行い品質を管理すること。
3、「商品」ではなく「作品」を作るつもりで臨むこと。
            「世界一美しい本を作る男」映画チラシより




この映画でシュタイデル氏がiPod好きだというのが判明。NY出張へ向かう飛行機の中でiPod を色違いの5台も並べるとは本当に驚き。ホテルに着くとすぐにiPodをドックにセットするところも同じ。これは仕事なのか、趣味なのか。移動中にいつもヘッドホンやイヤホンを欠かさないのは、音楽を聴くため?それとも仕事場と同じ音、輪転機の音を聴いていたのでしょうか。食い入るように見ていたのは私だけではないですよね(笑)


作家とのやりとり。スタンフェルド氏の意外な人物像、それをうまくかわしていくシュタイデル氏。
心に落ちるものはたくさんあったのですが、ドキュメント映画としては成功しているのかどうかわからないくらい地味な内容です。監督は映画にしかできない方法で「本」の美しさをもっともっと出してほしかった。ヴェツェル監督にはシュタイデルのように映画作りの仕事術と意地をもっともっと見せてもらいたかったなあ。



この映画は紙好き、印刷好き、写真好き、アート好き、文学好き、そして本が好きという人(もしかして私)には最高の作品です。

作り手はそんな人のためにわざとザラザラ感を持たせたのでしょうか。いわゆる手触り感のある作品にしてザラザラとしたシワ感とか襞を楽しむ映画に仕立てたのかしらん。読むべき襞を感じるために出かけて行き、帰りにビールでも飲んで自分の仕事について深く考えるという・・・、大人の現実回帰仕事術の映画に。




「   キャンバスと    
  その木枠を買った時点で
     間違いは始まっている。  」

これは、STEIDL社の一角に掲げられている現代美術家ヨーゼフ・ボイス(1921-1986)のマニフェスト。アーティストのアイディアを形にするために必要なことをすべてをボイスから学んだというシュタイデルは、”創作がしたいならすぐに行動せよ”と宣言した師の言葉を胸に本を作り続けている。(パンフレットより)



本編より予告編の方が音も映像もきれいですべてをいい得ているのはなぜ?
予告編も宣伝用チラシもHPも「シュタイデル萌え」が作ったのですね!多分。