北欧は螺旋の宝庫。デンマーク国立博物館で。 |
8月7日、すみだトリフォニー小ホールでのコンサート。
そのコンサートは、作家の作品からイマジネーションを得て作曲、その楽曲の初披露となるコンサート。昨年北京西安で上演予定だったオペラ「遣唐使」から楊貴妃、李白などのアリア、三重唱も初披露されました。
そのコンサート中、何と言っても私が一番ドキドキしたのは「上弦の月を喰べる獅子」の演奏。
バイオリンとパーカッションとの現代音楽。演奏者に委ねられる部分の多い、これはまるでフリージャズ。私の印象はそうだったのですが、曲解説を読めばわかるとおりこれは隅々まで計算された曲でした。
バイオリンと共に螺旋をなぞるかのような稲野さんのパーカッション、藤原さんの作曲コンセプトもまた素晴らしかった。この曲のコンセプトは小説の登場人物である螺旋収集家がとりつかれた世界です。(Cloudのロゴの元になったのはアイルランドの遺跡に記された三つの螺旋)
「上弦の月を喰べる獅子」作曲:藤原典子
バイオリン:古川仁菜
パーカッション:稲野珠緒
この本が持つ複雑な二重螺旋の構造、螺旋収集家と詩人の融合、登場人物が放つエネルギー、仏教の世界観を元にした進化、宇宙の物語に一瞬で引き込まれた。(中略)この壮大な物語を音楽でどのように表現するか。「構造からこの物語を造り始めた。」と夢枕氏があとがきに書かれていることからヒントを得て、今回私は今までとは違う作曲方法でアプローチすることにした。小説と同じ12の部分から成る音楽の構造と、音色、リズム、和音などの要素を先に決め、その要素が複雑に絡み合いながら音楽が進化していく。
藤原典子
ーー「夢枕獏と音の世界」パンフレットより
「上弦の月を喰べる獅子」 パーカッションリスト |