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2013/08/23

9月「陰陽師」歌舞伎座新作

9月の「陰陽師」歌舞伎座新開場柿葺落公演



岡野玲子さん絵のポスターも出来上がり、
尺八奏者き乃はちさんによる主題曲も発表
初日まであと一週間あまりとなりました。(チケットは発売日初日に完売してしまいましたが、まだ幕見と当日券という必殺技があります。)

陰陽師安倍晴明が登場人物として歌舞伎座の舞台に上がるのは、1993年歌舞伎座10月大歌舞伎「三国伝来玄象譚」以来です。この時沙羅姫を演じたのは坂東玉三郎さん、蝉丸を演じたのは今は亡き5代目中村勘九郎さん。花道を下がって行く沙羅姫の美しい姿に一緒に観劇していた英国人女性は感激の涙!海外の人にも通じる歌舞伎の底力を見た瞬間でした。
という訳で20年ぶりの安倍晴明公の歌舞伎座登場です。

小説「陰陽師」の中に出て来る音楽の美しさは陰陽師ファンなら周知のこと。といっても実際に音が聴こえてくるわけではないので、文字の中から想像する音です。これがまたうっとりするように素晴らしい。JAZZにインスピレーションを受けることもあるという夢枕先生は物語の中で一筋の光のように音楽を、一筋の音のように文字を操るのです。
安倍晴明は実在の人物ですが物語は全く架空のもの。晴明と博雅との関係は全くフィクション。安倍晴明という伝説に添えるキーパーソンとして源博雅を多くの文献の中から30年前に見つけてきたのは獏さんの音楽に対する感覚の鋭さの所以。本人は音楽のことは何もわかならいと言っていますが・・・。
名前も美しい源博雅の吹く笛は「葉二」という横笛、鬼からもらったと言われる名笛です。歌舞伎座でどんな葉二の音に会えるのか、これもまた楽しみです。

93年新作公演「三国伝来玄象譚」で作曲を担当されたのは豊竹咲大夫さんと鶴澤清介さん。
歌舞伎座の舞台で本格的な文楽の三味線と語りを聴くということは大変珍しい事で、その時の咲大夫さんの語りも歌舞伎座の会場に響いた太棹の音も大変に素晴らしいものでした。
そして今回の新作陰陽師の作曲は注目の新世代尺八奏者き乃はちさん。
主題曲「月光波」「夜明」はまだ聴いていませんが、き乃はちさんの音楽はとても楽しみです。CDも発売されるのだとか。新しい音楽を聴く時の楽しみは半端ではないですね。
歌舞伎座での音。新しい歌舞伎座の音は以前の歌舞伎座に比べると音が少し大きく感じる気がします。建物自体がまだ新しく響きすぎるのでしょうか。今回の新作は歌舞伎ならではのできるだけ生音に近い、自然な音での演奏だといいなあと切に願っています。


この秋、私たちも「陰陽師」とJAZZとのコラボを京都下鴨神社で行います。
昨年渋谷JZBratでのBert Seager Trio「OPENBOOK」リリースパーティでは、フランスのJAZZユニット[Ky]と作家夢枕獏をゲストに迎え、「陰陽師」とJAZZのコラボを多くの方に聴いていただくことができました。今年は京都で、それも世界遺産糺の森でのコンサートです。古くからの歴史ある森で西洋のJAZZと「陰陽師」が出会います。森に囲まれた小さな会場だからこその自然の音で音楽と語りをゆっくりとお楽しみください。
公演詳細お待たせしてすみません。近日詳細公開いたします。こちらもどうぞお楽しみに!


1993年「三国伝来玄象譚」資料映像よりⒸ松竹