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2013/07/16

ヘニングセンの灯りとチボリのジャズ

夏の宵の野外ジャズについては、先日も書きましたが、今日はコペンハーゲンのチボリ遊園地のジャズについて少し。

私たちがコペンハーゲンのチボリ遊園地でジャズを聴いたのは、2010年夏のレコーディング前日。
明日からレコーディングだというのにどういう訳かチボリへ皆で遊びに行こうということになり、ガゼボ(ハーモニーパビリオン)でのジャズ演奏を聴きに。
今までは冬に訪れることが多く、チボリはいつも休園中だったので、ぜひぜひこの機会に訪れて聴いてみたかった、夢にまで見たチボリのジャズ。
優しいミュージシャンはお登りさんの私のためにチボリへ同行。「もう僕は何度行ったかわからないもんね、100回近く仕事で行っているもんね」という感じ。


真ん中にいるのがペーター・エルド、その左はマグナス
次から次に現れる楽団員一人一人に
「なぜ自分たちがここにいるのか」を説明している。
5回くらい同じことを説明していたな・・
遊園地への入場料は、1500円くらいだったと思います。
私たちは近くのデンマーク料理店で早めの夕食を済ませて入園。遊園地の中にも雰囲気のいいテラスレストランがたくさんありました。でもここはお酒は飲めるのだろうか。

次第に暮れていく灯りの中で浮かび上がって来る照明の雰囲気は独特のノスタルジアのような美しさ。ディズニーランドとはまた違う北欧独特の穏やかで暖かな灯りです。



この中にあるいくつかの照明は、デンマークのデザイナーPoul Henningsen ポール・ヘニングセン(1894年生)によるもの。デンマーク語のサイトですがこちらで確認できます。http://www.bruun-rasmussen.dk/vfs/news/archive/7405.html?lang=sv

ポール・ヘニングセンと言えば、その作品の中でも「PHアティチョーク」は名品です。どこかしらそんな雰囲気を持つ灯りがあちこちにありました。もし私がジャズのお店を持つなら絶対にアティチョークを照明に使いたい!その灯りの下に置いたピアノはきっと北欧の素晴らしい音がするはず、と信じて止まない私です。


ヘニングセンの照明はコペンハーゲンの運河沿いにあるルイス・ポールセンのお店にたくさん展示されています。ここのお店の方はとても親切です。まるでミュージアムのような店内。もちろんほとんどの来訪者は見るだけなのですが快く迎えてくれます。


ガゼボでのジャズの音はホールの音とは違い残念ながらイマイチでしたが、野外ジャズはそんなものです。
ゆったりとベンチで楽しんでいる家族連れやカップル。あっという間にベンチ席は埋まっていきました。ミュージシャンはデンマークで活躍する最高のミュージシャンばかり。



というわけで。
チボリのジャズの後は遊園地の懐かしいコインゲームなどで遊ぶという一風古風なミュージシャン同志の親睦もジャズ大人の正しい夜の過ごし方。次の日のレコーディングがうまくいったのは言うまでもありません。
レコーディングは『Plastic Moon』という名盤になってこの世に生まれてきました。
どこかゆったりとしたチボリの宵の、ヘニングセンの灯りのような音がするはずです。うーん、そんな音なんかないよって?
まあ、まあ、まあ。


Plastic Moon
Magnus Hjorth(p), Petter Eldh(b),Kazumi Ikenaga