Bjarne Hansenの作る音の不思議さ
ワールドカップ、やはり日本とデンマークとの因縁対決になってしまいましたね。
えっ、全然因縁ではないですか?
真っ当対決でしょうか。
私には、つい先日共にレコーディングをしたという楽しい思い出があるので「因縁対決」です。
不思議なことに6月初めのレコーディングの間、全くサッカーの話題は出ませんでした。
当たり前でしょうか。
でも、マグナスはサッカー大好き青年なのです。サッカーだけでなくスポーツが大好きです。
それなのにレコーディング中は一言もサッカーの話題無し。
意外とデンマーク人はサッカーに日本人程夢中になっていないというのが正直な感想でした。
サッカーについて普通に会話するけど、好きな人は好き。そうでもない人はそうでもない。
日本人はマスコミ含めてすべてワールドカップに染まるけど、それ程ではないデンマークの人たちというイメージでした。
それとも私がいた環境がジャズ好きの人たちの集まりだったからでしょうか?
どちらにしても私には、嫌でも日本においてデンマーク色が強くなる、因縁の試合です。
どちらを応援すればいいのかよくわかりません。
どちらも好きだし。素晴らしい選手がそろっているし。
ところで少し、録音の話を。
今、コペンハーゲンで録って来た音を聴いているところなのですが、聴けば聴くほど不思議な気持ちになってしまいます。
ただの音なのにどうして聴くたびにこれほど変化していくのでしょうか。
本当に不思議な音です。彷徨っています。
コペンハーゲンで音を録ると決めた時に、誰の音で録ろうかと、コペンハーゲンの2人のエンジニアの音を聴き比べてみたのだけれど、実は、どちらも好きだとしか言いようがなかったのです。
でもやはり、あの強烈な体験でやはり私の気持ちは決まっていたようなものかもしれません。
強烈な体験。
ある時、ヨーロッパへの飛行機の中で、持参したBoseのヘッドホンで、i Podに入れておいたデンマーク産ジャズの音源をアトランダムに聴いていました。
その時に、脳天を直撃されたような体験をした日のことです。
聴こえてきたのは今まで聴いたことのない音。
深い森を覗くような、深淵に心を埋めるような音。埋めた途端に心が飛び跳ねて空へ突き抜けてしまうような不思議な音。
眠くてだるくての長い飛行機の旅がその時に一変しました。かじりつくように、ヘッドホンから流れてくる一音一音を聴き取ることが楽しくて楽しくて、あっという間に時間が過ぎていったのを覚えています。
それが初めてのBjarme Hansenの音との出会いでした。
でも、彼は不思議なことにいつも同じ音の作り方はしません。(と、私は勝手に思っています)
彼がどんな音を作るかはその時の気分次第。(と、勝手に私は思っています)
彼の作るありとあらゆる音を探し、彼の音に没頭して得たひとつの私の考えです。
Bjarne Hansenの音、一筋縄ではいきません。
私が持って帰って来た音は、さてどんな音にこれから生まれ変わって行くのでしょう。
これからマスタリングがもう一度コペンハーゲンで待っています。
ワールドカップ、デンマーク対日本の因縁対決の24日を過ぎたあたりが、Bjarne氏によるマスタリングの日だと思います。
Bjarne氏が、もし仮に強烈なデンマークチームのファンだったとしたら・・・
そして日本が、もし仮にコテンパンにデンマークをやっつけてしまったとしたら・・・