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2012/12/23

今年のマイベスト!!『OPEN BOOK』




今年も残すところあと僅かとなりました。
巷では今年のベストアルバム、ベスト本など出揃いましたね。どれもなるほどと思うものばかりですが、私にとっての今年のベストは、何と言っても『OPEN BOOK』Bert Seager Trio。

先ほどまで『Eric Dolphy At The Five Spot』(リマスター盤のほうです)を聴いていました。これは本当にいいアルバムだなあと思います。いいアルバムに出会うと必ずその後で自分の作ったものを聞き返してみます。そして「やっぱり自分の作ったものが一番」と腑に落ちたりして心ゆくまで自己陶酔に浸るというのがいつものパターンです。(ホントに狭い世界で生きてるなあ)
世には数多くの名盤と言われるものが存在しますが、自分にとっての名盤はやはり自分でこの世に産み出したアルバム(アルバムを作るほとんどの人にとってこれはあたりまえですね)というわけで、『OPEN BOOK』。これが私にとっての今年のベストアルバムです。
このアルバムは企画が一昨年の秋に始まり昨年11月のボストンでのレコーディング。それから何度もマスタリングを重ね結局一番ナチュラルな音に戻るという紆余曲折を経て今年5月に仕上がったもの。これは北欧の音とも全く違うボストンのバート・シーガーの好む音。やはりここは北欧やニューヨークの音にしてしまうのは違うだろうと自問自答を繰り返し、長年ピアニストが信頼を置くレコーディングエンジニアの感覚を信じ、これでもかというくらいナチュラルな音にしました。

バート・シーガーが「バッハのスタイルで何かを作曲してみたかった」という「Bach's Lunch」から始まるこのアルバム。唐突に開かれるバッハ。知的でアイディアに富む作品群からよりすぐったオリジナル曲と、私が愛してやまないガーシュインのオペラ「ポギーとベス」からの名曲「I Loves You Porgy」なども加えました。
コアなJAZZファンから愛される数多くのバート作品。これらを新しく初めての国内盤に仕上げるという作業は私には大変に緊張した期間でしたが、素晴らしいものに仕上がったと思います。
バート・シーガー独自の美学を持つピアノ。ペルー出身ニューヨークで活躍するホルヘ・ローダーの流れるようなベース。日本に数多くのファンを持つ池長一美の色彩豊かなドラムス。この3人によるユニットならではのアルバムでレビューも数多く取り上げていただきました。

このアルバムのアメリカでの発売はまだ予定されていませんが、バート・シーガーのHPに
は下記のように紹介されています。評論家の杉田宏樹さんは1980年代からのバート・シーガー・ウォッチャーだったのですね。素晴らしい!さすがです。
iTunes storeでは来年4月に世界中で配信予定です。


Open Book
2012 Cloud DDCJ-4008
Bert Seager - Piano | Jorge Roeder - Bass | Kazumi Ikenaga - Drums
"I've been watching Bert Seager for a quarter of a century, since his recording debut in the 1980's. "Open Book" is Bert's first release on a Japanese record label, and the fruit of a long collaboration with the drummer Kazumi Ikenaga. This album is the the definitive edition of Bert Seager." Hiroki Sugita, jazz journalist, contributing writer to Jazz Japan.